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障害者特化型サテライトオフィスの必要性とは

投稿日:2017年10月25日

<執筆:在宅障害者チーム>

障害者特化型サテライトオフィスの必要性とは

 

2020年東京五輪に向けて東京都では、交通渋滞や満員電車の解消を促しています。その方法として会社に出社するのではなく、都心から離れたサテライトオフィスに行き仕事をするという遠隔勤務という出社の形である。

 

このサテライトオフィスを利用することによって、都心まで行かなくても仕事ができることになるので、東京都の交通問題の緩和や国が推進している働き方改革にも繋がることにもなる。海外でもサテライトオフィスを利用している企業は多く存在しており、まだまだこの動きは進んでいくと言われている。現在の日本でもサテライトオフィスを利用している企業も増え始めているがまだ浸透しきれていないのではないのかと考えられる。

 

そこで私たちは『障害者特化型サテライトオフィス』を開始し推進する。文字として記されている通り、障害者専用のサテライトオフィスであり、企業に出勤することで発生してしまうストレスなどがなくなることで、働きやすい労働環境が実現されると考えている。また精神障害者の離職率軽減にも繋がると確信している。では何故そこで障害者を取り上げるのか。

 

それは社会問題の一つである、労働人口減少による『人手不足の解消』にある。

 

現在日本の労働人口は減少傾向にあることは周知の事実であろう。ただでさえ労働人口が減少しているのにも関わらず、少子高齢化により退職する人材が多くなってしまい、どの企業も人手不足で外国人を雇用するなどして少しでも人手を確保しようと必死である。しかし日本にはまだ潜在的な労働人材が多くいることを忘れてはならない。その一例として障害者であろう。

 

では日本にはどの程度の数の障害者がいるのであろうか。

 

平成28年版障害者白書の参考資料、障害者の状況(基本的統計より)から抜粋すると以下のような数字が見て取れた。

 

◆平成23年時の値

〇身体障害児・者(在宅):約386万人

〇知的障害児・者(在宅):約62万人

〇精神障害者・外来:約361万人

 

上記のように日本の障害者の数はこれほど存在しているのである。その中でも働き方改革によって2017年4月に障害者雇用促進法の改定で新たに精神障害者が法の適用範囲に入ったことから、企業は法定雇用率を達成するために精神障害者の雇用機会はこれから多くなっていくと考えられる。

 

こういったソーシャルビジネスとCSVがもたらす相互作用は未知数だと言っても過言ではないだろう。そのため障害者特化型サテライトオフィスの存在は非常に価値あるものとなっていくだろうと確信している。障害者特化型となっているのは当然だが、健常者用のサテライトオフィスでは対応ができないことが多分にあるためである。

 

その理由として以下のようなことが考えられる。

 

精神障害者の難敵ともいえるのが『ストレス』である。この目に見えない存在は、外的な要因でも内的な要因でも精神障害者には相当な負担になり、身体に様々な症状を引き起こし酷い場合にはその症状によって寝込んでしまいかねない状態になってしまう。そこで精神障害者へのストレスフリーな空間創りというのが課題になる。

 

筆者として考えられるものがあるとすれば以下のようなものであろう。

〇仕事をする場には精神的に落ち着く状態を提供する

〇カウンセラーなどのサポートスタッフの常駐や体調不良時の休憩スペースの確保

〇障害者同士のコミュニティの場の提供

 

非常に漠然としているが、今すぐ思いつくのは上記のようなものだろう。今後、障害者を交えての議論を行なっていくことでより良いサテライトオフィスとして提供できることになるはずである。

 

こうしたソーシャルビジネスとCSVの相互作用は、これから企業が取り入れるべき課題として十分な理由があるだろう。精神障害者は人材としての価値も高く、戦力としても申し分のないスキルを持っている者も多い。企業としては法定雇用率の達成の方を気にしているかもしれないが、精神障害者が戦力として欠かせない存在となれば、働き方改革としても企業の経営戦略としても大成功となるはずだ。そうなれば障害者へ向けられる目も良くなり、社会全体が健常者と障害者の枠組みとしての関係が良くなることを期待していきたいと思う。

障害者雇用とCSV(Creating Shared Value)がもたらす相互作用とは

投稿日:2017年11月02日

<執筆:在宅就労チームの声>

2017年4月から働き方改革の一環として障害者雇用促進法(以下、雇用促進法)が改定され、精神障害者が新たに雇用対象として加えられた。それに伴って平成30年4月からは企業に求められる障害者の法定雇用率も上方修正される見通しだ。つまり、企業で採用される障害者がさらに増加していくということになり、減少している労働者人口や企業の人材不足といった社会的な問題の解決に繋がるのではと期待されている。

 

こうして新たな働き方改革によりソーシャルビジネスに注目が集まる中、2011年に米国ハーバード大学ビジネススクール教授のマイケル・E・ポーター氏などが提唱したCSV(Creating Shared Value)という経営戦略の概念が注目を集めている。

 

CSVとは何かという話の前に、CSRという経営戦略の概念を説明しなくてはならない。何故ならCSVとはCSRという概念が存在していたからこそ生まれた新しい概念だからだ。

 

ではCSR(Corporate Social Responsibility)とは何か。

 

CSRとは一言で言えば『企業の社会的責任』を経営戦略の概念としたものだ。しかし、社会貢献活動や慈善活動などがCSRの概念であると理解されて来たためか、根本的な企業の事業活動自体に直接的な結びつきが薄く経営戦略となり得なかったとマイケル・E・ポーター氏は提起している。このような経緯があり、CSVという新しい経営戦略の概念が生まれたのである。

 

ではCSVとは何か。

 

CSVは『共通価値の創造』を概念としたものだ。従来のCSRでは善行的な社会貢献活動が企業の事業活動と結びつかないという限界を踏まえた上で、さらに【社会的な課題の解決】と【企業の競争力の向上】を同時に実現しようというものである。

 

このようにCSVが提唱され現在注目されているのは、上記にもあるが働き方改革により新たな雇用の存在と企業競争力が向上すると考えられるからだろう。であれば障害者雇用のソーシャルビジネスとCSVという概念は正に相性としては抜群であるはずだ。企業にとって未発達且つ成長性のある市場と考えられる障害者雇用の市場をいち早く注目するのは必然であろう。

 

では障害者を雇用するためにはどのような環境が望ましいのか。

 

障害者と言っても様々な状態の者がいるが、ここでは新たに雇用促進法で対象になった精神障害者に注目してみる。

 

精神障害者を新たに採用し雇用をするとなれば、一番初めに頭に浮かぶのはテレワーク(自宅勤務)やサテライトオフィス(遠隔勤務)であろう。精神障害者と呼ばれる多くの者は、会社で働くことのストレスに弱いことや会社通勤ができないなど社会の色々なストレスを過敏に反応してしまうからある。ならば、そのストレスを少しでも感じさせないように仕事ができる環境が望ましい。その面で言えばテレワークが一番ストレスなく仕事ができるであろう。

 

次に考えることは、精神障害者の状態次第ではサテライトオフィスでの仕事がより良いのではないかという考えである。何故なら仕事をする上で多少なりとも緊張感を持つことは、集中力を増しより良い仕事を行なえるのではないかという考えからだ。

 

そこで弊社が考案している新しい障害者の雇用方法として、障害者だけが出勤することができる『障害者特化型サテライトオフィス』である。普通のサテライトオフィスに精神障害者が利用するとなると、健常者による仕事の緊張感が過度なストレスになり悪い方に作用してしまう可能性が考えられるからだ。

こういった障害者をサポートしてくれる障害者特化型サテライトオフィスがあれば、余計な不安や心配事を減らしてくれる効果もある上、似たような症状での悩みを持つ人達が集まっていることで相互理解やサポートもできるため、精神障害者の離職率軽減にも繋がると確信している。

 

今後の社会の在り方について。

 

雇用促進法によって企業に求められる法定雇用率は将来的に見ればさらに上昇していくことになるだろう。それだけの労働人材が眠っているからこその働き方改革であり、新たな雇用促進法であるからだ。

また今の世の中の流れでは、サテライトオフィスを導入している企業が世界的に見ても多い。経済的価値と社会的価値の両立を実現するソーシャルビジネスとCSVもまた様々なモデルケースを生み出していることであろう。その中に障害者雇用のモデルケースが様々な企業でどのように発展させていくのかを今後期待したいと思う。

ソーシャルビジネスの未知数な可能性

投稿日:2017年10月12日

<執筆:在宅障害者チーム>

『障害者雇用促進法(以下、雇用促進法)の改正』

2016年9月に働き方改革への取り組みを提唱し、現在多くの企業で就労や雇用方法などの見直しがされ、2017年4月の改正で今まで様々な機会に恵まれなかった精神障害者も雇用の義務化が法律に規定されました。これにより精神障害者だからと言って雇用の機会を失くすような状態から脱却されようとしている。

 

ではその雇用の現状はどうなっているのだろうか。

 

実際のところ対応できている企業は少数で、日本社会全体が対応するにはまだまだ時間が掛かりそうだ。精神障害者の雇用義務が規定されても企業内の整備が整わないのであれば致しかたない。ともあれ、平成30年4月からは障害者の法定雇用率の値が上がることもあり、企業側はその対応に四苦八苦していることだろう。

 

一方で、精神障害者は今どのような想いを抱いているのだろうか。

 

恐らく一様に不安しかないだろう。今まで企業から見向きもされなかった精神障害者にとって、手のひらを返されたように積極的に雇用しますと言われて素直に働けるものなのだろうか。精神疾患の度合いで変わるだろうが、それはとても難しいと言わざるを得ない。法律で雇用義務が規定されているから雇われているだけではないだろうか。という疑念は精神障害者にとっては払しょくできないものなのである。

 

では企業側はどうだろうか。

 

企業も何の理解もなく精神障害者を健常者と同じように扱うことはできないことは理解しているであろう。精神障害者をどう扱うか不透明なままならば、あくまで義務化に従うということで簡単な仕事だけやってもらうという企業方針では給付金目当ての状況を作ってしまうことになる。この状況での雇用の義務化は、良い意味でも悪い意味でも理想でしかない。そこを理想で終わってしまってはもったいないし、ソーシャルビジネスとして活かしていけるかが課題となるだろう。

 

そもそも論として、精神障害者の多くは企業が求める人材として申し分のないスキルを持っている。

 

精神障害を抱えてしまった障害者の多くは、社会人として働いていた人達であり、様々な理由で精神疾患を抱えてしまい社会から離れてしまった人達なのである。

例えば、新卒採用で企業に入社し頑張って働いて結果もちゃんと出していたが、不況の煽りを受け精神疾患を抱えて会社を辞めざるを得なかった人だったり、真面目で頑張り屋だったがストレスを溜め込んでしまって精神疾患を抱えたりと、社会で真面目に頑張ってきたが途中で何らかの理由で足を止めてしまった人達が多くいるのだ。そして通院しながらも再就職を試みるが、精神疾患が再発してしまってすぐに退職するという形になり就職に対する高い壁に絶望してしまうことになる。

 

こういった例の様に、企業で積んだ様々なスキルやノウハウを発揮できずに就職したくてもできない精神障害者は多くいるのが実情なのである。元々は真面目で向上心を持って仕事をしていた人達であるため、働きたいと考えている精神障害者は思っている以上に多いと考えられる。通院しているなら尚更、より良い精神状態に回復するために今も頑張って前を向いている状態なので、徐々に社会復帰していくという意味でも雇用の機会があれば積極的にチャレンジしてくるだろう。

 

このようにチャレンジしてくる精神障害者の多くは、自宅では比較的健常者に近い健康状態を保てていることがあるので、在宅就労という形で本格的な仕事をすることができるだろうと考えられる。在宅であれば、地方の実家で療養をしている精神障害者にも平等に雇用の機会が与えられる。また東京都は2020年の東京五輪に向けて、交通網の混雑軽減や人口の一極集中の緩和を実現するために、在宅就労を推進する動きが見られている。こういった世の中の動きを鑑みれば、在宅就労という就労形態はこれからの社会において必要で必須の在り方と言えるかもしれない。となれば、優秀な人材の宝庫である精神障害者をソーシャルビジネスとして在宅就労という形で雇用することは、企業の戦力としてなり得るだけではなく、長い目で見ても利益として得られるものは多いと考えられるのである。

 

以上のことを踏まえると、今企業が為すべきことは精神障害者の理解とソーシャルビジネスの展開への投資ということになるのではないだろうか。精神障害者をただの雇用義務として雇うのではなく、ソーシャルビジネスとして展開していき新たな企業の戦力と考えていくことで企業の更なる成長へと繋げていく。そのような企業が増えていくことで、不足している労働力を補えることにもなるうえ日本社会の経済もより回っていくようになっていくかもしれない。現在のソーシャルビジネスの可能性はまだまだ未知数であり、それをどう活かしていくかにより様々な成果を出せる分野であるということを一層理解してもらいたい。

社会的弱者は社会的価値を生み出せないのか?!

投稿日:2017年08月05日

社会的弱者は社会的価値を生み出せないのか?!

社会的弱者は「機会が不足」している。

一人ひとりが望む意志によって、この「機会」というものは当然ながらさまざまだろう。

 

大きい枠組みの中で考えると、断言できることがある。

それは「社会的弱者は社会的価値を必ず生み出せる」という事だ。

むしろ、社会的弱者が生み出す社会的価値は”人々の記憶に残る偉大な価値になる”と信じている。

組織(ここでは企業とする)が生み出している価値は、個がもつ価値の集結により創出されているものだという考え方がある。多様性(ダイバーシティ)という言葉が、多くの場所や機会で用いられている状況が見受けられるのも、おそらく時流なのだと考える。

個がもつ価値というと、私たちが推進している障害者アウトソーシングチームの業界である「障害者就労業界」でも日々熱い議論が行われている。(「障害者にも個性がある」「障害者には人にはない突出した能力がある」など)個の存在に対する価値をここまで熱く強くそして大切にしている業界は、可能性に満ち溢れていることに間違いはないはずだ。

では、障害者自身はどのように考えているのだろうか。当然ながら、一人ひとりが考える「価値」自体が異なるため断定的なことは言えないが、少なからず”自分(個)には価値がある”と感じられていない人が実際に存在していることは間違いない。特に、精神障害者と意見交換をするとこの事実は必ずと言っていいほど起きる。

「社会的弱者は社会的価値を生み出せるのか?!」という議論の前に、”まずは社会的弱者自身の価値を生み出す必要がある”と考えてしまうのだが、この考え方は就労(仕事)をする事に対して言えば”実にハードルが高い”と感じる。個の価値というのはまさに「実力・経験・感性」で構成される極めて少数の方々から生み出される(マイノリティ)ものである。個の価値というのは、一見誰にでもあるようで、実際には今日という1日の中で”個の価値”を感じられる機会なんてほぼ無い。だから”自分の存在価値”の是非や在り方などに苦しむ。

“知性の集結価値”という考え方がある。これは、著書「TEAM OF TEAMS(スタンリー・マクリタス)*日経BP」を拝読して得た大切にしたい考え方の一つ。この考え方は、「スティーブン・ジョンソン」の著書『創発』(ソフトバンククリエイティブ刊)と共に綴られており、女王アリによるトップダウンの司令でコロニー(巣や秩序とする)は保たれているという考え方で有名な「女王アリの神話」を挙げながら”知性”に対する考え方や価値について説いている。

*ここでは、社会的弱者をアリに例えたい訳では全くない。本質的な論点を正確に認識して頂けたら幸いです。

「スティーブン・ジョンソン」の著書『創発』によると、精密精巧に作られているアリの巣は、女王アリによる集団(そのほかのアリ達)への統制力や管理力のもと作られているという訳ではないという。どのアリにも、「食べ物の貯蓄倉庫」や「緊急脱出出口」などの機能を持たせた最適化された巣を設計する能力は無いという。

結論、アリの本能的能力やアリが残したフェロモンの種類*1(*1Johnson,Emergene,52ページ)でパターン認識しているということのようだが、ここで伝えたいことは、複雑化された”一人ひとり異なる性質や能力”は”連結”させる事が可能なのではないかという事だ。

実際に、ヴァルトジャパンと共に仕事を推進している障害者チーム間では、それぞれの特異性(スキル等)や状況(品質や納期,当事者の体調変化等々)に応じて、柔軟に相互連携が行われている。

前述した、”個の価値”を感じられる機会なんてほぼ無い。だから”自分の存在価値”の是非や在り方などに苦しむ。という内容に戻ると、この”連結”には「個の存在価値」を体言化できる要素がメチャクチャ含まれていると感じる。

現に、障害者チーム何百人が一斉に関わる大型プロジェクトでは、相互連携により見事にプロジェクトを成功へと導き、日本全国の地方都市の活性化の一助となれたと、私たちは自負している。

冒頭に申し上げたが、社会的弱者が生み出す社会的価値は”人々の記憶に残る偉大な価値になる”社会が、1歩ずつ現実社会へと姿を見せている。

 

“個がもつ価値の集結により、社会的な価値を創出する事ができる”

“個の価値は、個の相互連携により生み出す事ができる”

“社会的弱者が生み出す社会的価値は「人々の記憶に残る偉大な価値になる」”

みなし雇用制度が精神障害者にとって大切な理由とは?

投稿日:2017年07月13日

 

<障害者チームの声>

障害者雇用の問題は長い間、身体障害者と知的障害者を中心に考えられてきました。しかし、そのために精神障害者は捨て置かれてきたように感じられます。

 

しかし、2018年4月に精神障害者の雇用も義務づけられるため、漸く長年の不満が解消されるかと期待しています。とはいえ、今までも法定雇用率をクリアしている企業は少なかったといえます。その意味で、本当に期待してよいのでしょうか?と、考えている精神障害者は多いと思います。

 

そこで期待したいのが【みなし雇用】です。これは企業が、授産施設・就労継続支援事業所などに外注で業務を依頼することにより、いくつかの指標や評価基準を基に法定雇用率に換算するというものです。

 

外注する企業側にとっては、【みなし雇用制度】によって法定雇用率を達成しやすくなるというメリットがあります。もちろんそれだけでなく、法定雇用率を達成するあるいは障害者施設に外注することで発生する「特例調整金」や「特例報奨金」が支給されるというメリットもあります。これにより障碍者雇用の問題も解決されると期待したいところです。

 

この制度、即ち外注による【みなし雇用】に期待したいのは、従来の障害者雇用があくまで「雇用」を中心としているために、実際に漸く就職できても、心の病により定着できず、やむなく退職していく精神障害者が多いという問題や課題が、本質的に解決へと向かっていくということです。つまり、一般企業の障害者枠で働くのは難しくても、精神障害者などが授産施設や就労継続支援事業所等々で相当数就労(働いている)しているので、この外注を手段とした新たな雇用制度が非常にありがたいものとなるわけです。

 

このような背景や期待から、みなし雇用の制度が今後近いうちに整備されることになると考えられます。これは働きたいと考えている精神障害者にとってはまさに朗報です。

 

一方で、実際問題として一般企業の障害者枠での雇用環境は「続かない」というかたの声はよく聴きます。

 

そこには様々な要因があると思います。健常者と共にいる職場で働くのは、精神障害者にとってはハードルが高い。決して全員がそうではありませんが、事実として既に起きていることです。原因は多岐にわたりますが、例えば「緊張してしまう」あるいは「業務内容が難しい」といったケースが考えられます。しかし、授産施設や就労継続支援事業所ならば、休憩室が整備されていることや、精神障害者への対応に対するそれ相応の知識と経験がある職員しかいないといった環境があるため、精神障害者にとっては居心地がよく働きやすいということになります。中には、一般企業で精一杯頑張ってみたけど、どうしても継続して働くことが難しくなり、施設へ入所される方だっています。(これは決して悪いということではなく、あくまでこのような事実があるということをお伝えしています。)つまり施設の存在は、継続して働けずに退職してしまうといった問題の発生率を低くできる価値があるとも言えます。

 

こういったことから考えると、授産施設や就労継続支援事業所などへの外注が増えることが、精神障害者の生活環境を良くするうえで大いに役立つといえます。

 

精神障害者は貧困状態に置かれている人が多く、その環境改善を当事者としては一番に願っています。そのためには、障害者年金と賃金を合わせた額が、生活するうえで十分な額に達する必要があります。そうでなければ、生活保護を受けざるを得なくなり、様々な面でデメリットが大きくなってしまい、基本的人権が守られなくなってしまうという恐れや不安を感じながら毎日を過ごさなければならない-

 

みなし雇用を企業側に理解していただき、障害者を雇っている授産施設や就労継続支援事業所などへの業務の外注を行っていただくことが欠かせません。これは障害者にとっては死活問題なのです。

 

しかしながら、この【みなし雇用制度】により外注が促進されるだけでは本質的な解決にはならないとも考えます。数ある理由のうちの一つが、「仕事の管理体制」です。一般企業からの仕事には当然ながら様々なルールや納期などといった制約があります。持続可能な仕組みにするためには、企業側が望む成果を出し続けなければなりません。(アウトプット)このアウトプットには、様々な仕事を理解し、計画を立案し実行させられる力が必要です。この力が全ての障害者施設にあるかというと、Noと言えるでしょう。これは、力がないということよりも「障害に対するケア(サポートや支援という意味)」の専門家で構成されているため、そもそもビジネス(ここでは仕事という意味)を推進していく組織体制ではないということです。

 

福祉的な支援という観点や実行力があってこその就労という考え方は、決して間違いではなく、なくてはならない大切なことです。そのため、この【みなし雇用制度】については、就労(仕事の推進)をサポートしてくれる専門家や企業(ヴァルトジャパンなど)を絡めた【持続可能な仕組み】にしていく必要があると言えます。

 

精神障害者には様々な面で高い能力や実績を持っているかたがいます。彼らの力は企業のメリットに直結することは間違いありません。労働人口も減ってきている現在の日本で、精神障害者を新たな労働力として捉えた共通価値を創造していただきたいのです。